ARTICLE テーマ:ブランディング (女性スタイリスト編)
『CHERIE hair design』スタイリスト 満丸 香澄
/Vol.5
豊かにし、収益化もできる
満丸 香澄 Mitsumaru Kasumi
Mitsumaru Kasumi
『CHERIE hair design』スタイリスト。
1988年10月6日生まれ。鹿児島県出身。
福岡南美容専門学校卒業。福岡市内1店舗
を経て2017年、『CHERIE hair design』
に入社。セルフアレンジをメインとした
Instagramのフォロワーは15万人超。様々
な企業の広告案件も担当するインフルエン
サーとしても活躍中。
様々な分野から仕事の依頼が来る満丸さん。
女性美容師にとってInstagramが必要な訳とは…。
目次
- Topic1.
オーナーからのひと言をきっかけにセルフアレンジ投稿をスタート - Topic2.
美容室激戦区で勝ち抜くため、女性美容師のために、SNSは必要不可欠 - Topic3.
Instagram動画の収益化に成功 今後は物販やYouTubeにも挑戦したい - Pick up.
私の美容師ライフの7ルール
1
セルフアレンジ投稿をスタート
それまで勤めていたサロンを退社し、『CHERIE hair design』に転職したのだ。4年前のことだった。
2
女性美容師のために、
SNSは必要不可欠
同じハッシュタグをつけたりしていた時期もありましたが、途中からはハッシュタグを内容によって変えるようになりました。動画の内容も、もっとこうしたほうがわかりやすいのでは、もっとこうしたほうが見やすいのでは、など、クオリティを上げたい気持ちがどんどん強くなっていったんです。毎日ちょっとずつでもフォロワーが増えていくのが実感できたことも、続けるモチベーションになりました。1年ほど経った頃、お客様から“見ましたよ”と言われることが増え、私のInstagramを見た方がサロンに来店してくださったりするようになりました。最初はセルフブランディングが苦手で、Instagramを始めた頃は友人から“顔出ししてるね~”などとからかわれることも(笑)。でも結果が出てきたら友人たちも認めてくれて“最近、仕事すごくがんばってるね”と言ってくれるようになったんです。Instagramの見え方が変わってきたのだと思います。それもモチベーションアップになりました。
でも、Instagramを始めた当初からその意識は持っていたという。
福岡の大名エリアは美容室の激戦区。集客するために何かに特化して自分をブランディングしていかないと生き残れません。なので、『セルフブラディング』というワードは常に頭の中にありました。それと同時に、サロンワーク以外の仕事をどう構築するかということも考えていました。今後、結婚や子育てをするようになった時を見据えて新たな仕事を模索していたので、Instagramが仕事につながればいいなと思ったんです。女性美容師は結婚したら辞めていく人が多い現実がありますが、妊娠や出産でサロンに立てない時もInstagramなどのSNSを通じて何か発信し続けられれば、お客様との関わりがゼロになることもなく、スムーズに復帰できるのではないかと。フォロワーが増えれば増えるほど、色々な形で一生美容に携わる仕事ができたらいいなというのを実感しました。女性美容師さんはぜひ、SNSをやってほしいと思います。
3
今後は物販や
YouTubeにも挑戦したい
全国から様々な依頼が舞い込み、 動画の収益化に成功している。
いちばん多いのは、商品を使った感想を投稿する広告案件です。また、動画配信サイトのアンバサダーとなり、投稿することそのものが収益になる案件、SNSのやり方や動画の撮り方をレクチャーするセミナー案件など、様々な分野からお仕事のご依頼をいただいています。ファッションサイトから洋服の提供をしていただくこともあります。会社を通してお仕事をお受けしているのですが、オーナーは“どんどんやりなさい。満丸さんのようにプラスで収益を上げられる美容師を育てていきたいからね”と言って協力してくださっ ています。
多忙を極める満丸さんだが、つらいと思うことはないのだろうか…。
最初は投稿を続けられるか不安でしたが、今では投稿しないほうが不安ですし、習慣化しているのではつらいという思いはないですが、友人からは“常にInstagramをチェックしているよね”とは言われます。これだけやっていると、前に投稿したアレンジを再度やっていることもあると思いますが、ヘアカラーや季節、ファッションが違えば違うアレンジですし、その時々の可愛いアレンジが発信できればいいと思っているので、そこはあまり気にせず、今日は今日のアレンジ、と思って続けています。
わかりやすい動画をつくること、これがいちばん肝心です。わかりやすく伝えるにはどうしたらいいかということを、いつも考えています。“わかりやすいです”というコメントをたくさんいただくので、ちゃんと伝わっていたのかなと思ったりすることはあります。セルフアレンジをやっている他の方の動画も見て常に研究しています。“この伝え方、すごくわかりやすい!”と思ったら、すぐ取り入れます。また、サムネイルにもこだわっています。見たくなるワードと見やすさ、目に留まるような工夫をしてつくっています。試行錯誤の結果、完成形をサムネイルに載せたほうがきれいにつながりますし、わかりやすいのではと思い、最近はそうしていますね。誰でも簡単にできますよ、など、アピールしたいことを見やすくて可愛い書体で、時には音声付きで入れることもあります。書体は毎回同じものを使って統一感を出すことが大切です。
と語る満丸さん。
サロンワークに影響が出ない範囲で今後もSNS案件は続けていきたいと考えています。せっかくセルフアレンジ動画を毎日投稿しているので、アレンジに使いやすいヘアアクセや便利なアイテムをプロデュースして、ECサイトで販売できたらいいなと。低価格の物というより、素材や質にこだわったアイテムを1からつくって、自分のブランドを立ち上げてみたいです。それをやるにはYouTubeのほうがいいのかもしれないので、やろうと思ってはいるのですが、そこまでまだできていなくて…。YouTubeでも発信するのなら、Instagramとは違うものを発信したいと思っています。
7ルール
Instagramをチェック
毎朝、起きたらまずInstagramをチェック。1時間くらいずっと見てます。インサイトやフォロワーがどれくらい増えているか、動画が何回くらい再生されているか、他の人の動画も含めチェックします。これは反応がよかったな、こういうのはみんな好きなんだな、という結果を踏まえ、今日のアレンジを決めます。
撮影する
サロンに出勤し、セルフアレンジを毎日撮影します。セルフアレンジをして最後に写真を撮るまで、約30分あればできます。アイロンを使わないアレンジなら10分くらいでできることもあります。うまくできなかった時は最初から撮り直すこともありますが、それも含めて30分あればOKです。
“お姉さんスタイル”で
仕事中は、気軽に相談しやすい、ヘアのこともプライベートなことも、ファッションのことも気軽に相談しやすいお姉さんのような存在でいたい、そういうスタンスでお客様と話すようにしています。その人の背景も理解してデザインを考えたいので、緊張せず気軽に話してね、というのが基本です。
気づいた時に返す
1人が聞いてくることは、他の人も気になっていることだと思うので、ストーリーズに上げたりして、なるべく質問されたことは返すようにしています。質問に対する動画をつくると、再生回数がすごく伸びることも。私にとっての新しい発見にもなるので、質問への返答は欠かさないようにしています。
テンションが上がる服じゃないと、ヘアも可愛く見えなかったりするもの。今投稿しているセルフアレンジは、ファッションも含めて可愛いというのを意識してつくっているので、テンションの上がる服を着るのはとても大事なこと。私が着た服やアクセの問い合わせや注文が来ることも結構あります。
セルフアレンジ投稿を始めるまではセミナー講師の経験も少なく、人前で話すこともInstagramで顔出しすることも苦手でした。でも、そこに挑戦したことで得られたことがすごく大きいし、自分が成長できたと感じています。苦手なことこそ排除せずに、自分を変えるためにやっていかなければと思っています。
うまくいく時はとことんやる
うまくいかない時に動画を撮ってもいい動画にはなりませんし、それを上げても再生回数も伸びません。そういう時は一旦休んで楽しいことを考えます。逆にうまくいく時は1日ずっと編集をしていることも。うまくいかない時は無理をせず、前に反応のよかった動画をもう一回上げたほうがよかったりします。
前のサロンもとてもいいサロンだったのですが、オフィス街にあったこともあり、ハイトーンやデザインカラーをする機会が少なかったんです。また、今後SNSが主流になってくるのでは…と思い始めていた時期でもあったので、カラーの知識をもっと深め、SNSにも力を入れたいと思い、そこを強化している『CHERIE hair design』に転職しました。
始める前は、Instagramにプライベートを少し投稿しているくらいでSNSの知識がほとんどなく、SNSが好きだという気持ちも持っていませんでした。オーナーからのアドバイスを聞き、自分なりに考えてみたんです。当時はカットやカラーの投稿が多く、セルフアレンジの投稿が少なかったこと、元々セルフアレンジは好きでサロンワークの日は自分でアレンジをしていたこと、それらを踏まえ、今できることはこれしかないと思い、始めました。でも最初は、毎日投稿を続けても見てくれているのはスタッフくらい(笑)。フォロワーもすぐには増えませんでした。途中で不安になってオーナーに相談したのですが、続けていれば絶対に成果が出るからと言われ、それを信じて続けていたら、スタートして半年後くらいには何千人という単位までフォロワーが増えていきました。自分からお客様に見てくださいねと推し進めたというより、自然に広まっていきました。