ARTICLE テーマ:ブランディング (男性スタイリスト編) Vol.1
Euphoria 銀座三丁目店 店長 長谷川 壮
/Vol.1
人と人とのつながりを大切にしたい
長谷川 壮 Hasegawa So
Hasegawa So
『Euphoria 銀座三丁目店』店長。
1991年3月10日生まれ。埼玉県出身。
日本美容専門学校卒業。都内1店舗を経て
2016年『Euphoria』に入社。
史上最速で店長となる。
全店指名数No.1、リピート率No.1を誇る。
他、ヘアアレンジやメンズカットにも定評がある。
新規客もリピート率も
全店トップを誇る長谷川さん。
地道な努力と工夫のすべてを
お聞きしました。
目次
- Topic1.
集客の要であるInstagramでは、自分のファンを作ることに注力 - Topic2.
SNSを使い分け、リピート率にこだわることが大事 - Topic3.
女性客はInstagramで 男性客はクチコミで - Topic4.
楽しみながら学んだ先に自分らしい技術が生まれる - Pick up.
私の美容師ライフの7ルール
1
自分のファンを作ることに注力
幼い頃から人と接したりお客様に楽しんでもらうことが好きだった。
「意外と少ないねと言われることもあるのですが、ストーリーズに投稿すると必ず4,000人以上の方が見てくれます。これはフォロワーが数万人いる人と同じくらいの閲覧数です。また、投稿をするとリーチ数が20,000人を必ず超えます。フォロワー数にもこだわってはいますが、その中でも絶対的なファン層が多いInstagramに成長したのかなと。今では新規客のほとんどがInstagramからの予約です。“ファンづくり”にこだわったブランディングに効果がでてきました。」
2
リピート率にこだわることが大事
2020年5月からは、TikTokとYouTubeのアカウントも開設。
「TikTokは、お客様に見て楽しんでもらうのはもちろん、集客の入口を広げるために試しにやってみたところ、意外と大きな反響を呼び、フォロワーが32,000人を超えるまでになりました。YouTubeはまだ投稿内容を充実できていないので、これから育てていく予定ですが、美容師としてのプロの技術や接客をしっかり見せていきたいと思っています。イメージとしてはTikTokでまず僕を知っていただき、InstagramやYouTubeに飛んでもらって美容師としての僕に興味を持ってもらう、という流れを想定しています。」
「自分としてはむしろリピート率が上がったことを大事に考えています。最初の頃は自分が得意な雰囲気のお客様や得意なスタイルを提案した時しかリピートしてもらえませんでした。それでも月間売上100万円までは到達したのですが、それ以上はなかなか伸びず、苦戦していました。その時、“売上を伸ばすには自分1人では無理だ”と気づいたんです。すべてのアシスタントを巻き込んだ“全員接客”を徹底することにより、売上も伸びていきました。そのお客様がどういう方で、どんな履歴で、どういう接客を望んでいる方なのか、すべて事前にアシスタントに伝えておくことで、たとえ同じ時間帯に複数のお客様がいて僕自身が担当できない時間があっても、お客様を不安にさせることなく対応できます。また、あまり話をしたくない方、ゆっくりくつろぎたい方には落ち着いた接客をする(作戦A)、会話しながら心地よく過ごしたいお客様には楽しませる接客をする(作戦B)を共通認識にし、接客の指示も僕が出しながらスタッフ全員で接客しています。専属アシスタント制ではないので、すべてのアシスタントが同じことができるようになっているのがうちの強みですね。」
3
男性客はクチコミで
「『Euphoria』に入社したての頃、カットもカラーもストレートも、それぞれ得意な先輩がいたので、僕は“ナチュラルなスタイルならお任せください”という打ち出しをしていたのですが、新規指名はゼロという日が続きまして…。元々メンズのスタイリングには並々ならぬこだわりを持っていたのでそこに活路を見出し、メンズのスタイルを投稿したりしながら打ち出しを強化したところ、少しずつメンズのお客様が入るようになり、そのうちの95%の方がリピートしてくださったことをきっかけにハマっていきました。今ではメンズからメンズへと紹介の輪が広がっています。ちなみにメンズはみんな“作戦B”です。楽しい空間でスタイリングまでしっかりやることを心がけています。女性客はInstagramで、男性客はクチコミでお客様が増えていくというのも、なんだか不思議な感じですね。ヘアアレンジは、ある1人のサロンモデルさんから“ポニーテールをしてほしい”“ハーフアップにしてほしい”と次々に依頼され、それに応えるために毎回必死に練習を繰り返した結果、ヘアアレンジが得意と言えるまでになりました。現在、外部のヘアアレンジコンテストで2連覇中です。」
4
自分らしい技術が生まれる
「何でも知ってないと不安になるので、骨格や髪質、肌の色などから導き出す視覚効果や似合わせについての理論を徹底して勉強した結果、それを全部含めた提案をすることが得意になり、そこから錯覚を使った小顔カットや目を大きく見せる前髪カット、肌がきれいに見えるカラーなどが生まれました。今でも多くのお客様に喜んでいただいているので、本当にうれしいです。」
「YouTubeを充実させたいです。beforeとafterを撮って、自信がない人に髪で自信を持たせるとか、そういう感動を伝えられるコンテンツを作りたいです。また、ファッションスタイリストやメイクアップアーティストなど、各分野のスペシャリストの方とチームを作り、一緒に何かやってみたいですね。Instagramでは、一般の方がやりやすいヘアアレ ンジなどのセミナーを配信したりしながら、人と人とのつながりをこれからも大切にしていきたいです。」
7ルール
「今日はどうしますか?」ではなく「どう巻きますか?」とお聞きするくらい、メンズも含め必ずアイロンを使って仕上げをしています。僕の得意なアイロンワークを体験してほしいですし、美容室に行くこと自体をイベントとして捉えてもらいたいので、それには最後のスタイリングは必要不可欠なんです。
「僕、昔は野球部だったんです」と言うと、とても驚かれますし、TikTokからのお客様は僕を軽いノリの人だと思うようで、本当は柔らかい接客を大事にしているのに見た目で損をしている…と思っていたのですが、逆にそれが強い印象を与えることに気づいたんです。最近はそのギャップをむしろ意識しています。
メインに行う
たとえばお客様のウェディングのヘアを担当する場合、晴れの日まで何百回もイメトレを繰り返し、最後に1回だけウィッグで練習してイメトレとの差を埋めて本番に臨んでいます。イメトレなら何度でも、筋トレしながらでもできるので、これまでずっと、ちゃんとしたイメトレを続けています。
ピリピリしない
僕のいる店舗は僕がいちばん立場が上。僕はゆとり世代、僕の下はさとり世代、そのまた下は新しい世代ですから、上の者が厳しく言いすぎると委縮してしまうんです。そういう関係はイヤですし、全員接客でリピート率を高めるためにも、ピリピリせずに長所を伸ばせる空気づくりを大切にしています。
おもてなしする
「ピリピリしない」ともつながっていることですが、自分1人よりもアシスタントを巻き込んでいい雰囲気を作り、僕がいなくても『Euphoria』に来たいと思ってもらえるような全員接客を心がけています。アシスタントを混ぜてお客様と楽しい時間を共有することで、仕事のクオリティも上がります。
(上を目指してみる)
どんなこともとりあえずやってみる、というのがモットー。緊急事態宣言の時にサロンが臨時休業した際、お客様とのつながりを失わないようにTikTokとYouTube、あと筋トレも始めました。インドア派なので本当は家でゆっくりしていたいのが本音ですが、何ごとも有言実行、自分を奮い立たせています。
よくお客様から「本当に楽しんでやってますね」とか「最後になると急にニヤニヤしますね」と言われるのですが、楽しんで施術をしてだんだんきれいになるのがうれしいんです。楽しみながら学ぶことで技術にこだわりも生まれますし、お客様も美容を楽しんでいる人に髪を切ってほしいと思うと思います。
「最初に就職したサロンは地域密着型だったので、人と人とのつながりを大事にしていて、接客も楽しかったのですが、本気で人を喜ばせるにはしっかりとした技術を身に着けなければと思い、美容師歴2年半、スタイリスト歴半年で一念発起し、『Euphoria』に入社しました。1カ月だけアシスタントとして猛練習を重ねてスタイリストデビューしたのですが、『Euphoria』で見たものは今までのサロンワークとはまったく違いました。同時に多くのお客様が来店するので放置時間は別の席に移動してもらうことも、ショートが得意なスタイリストには本当にショート希望の人だけが来ることも、何もかも新鮮でした。その中で、自分の接客スタイルは曲げずに先輩のいいところを吸収して伸びてやるぞ!というのが、僕のセルフブランディングの原点です。
最初はInstagramに着手したのですが、当時のフォロワーは約200人。ヘアアレンジのバックショットを撮って投稿していましたが、あるサロンモデルの女の子に見せたところ、“長谷川君のInstagramはつまんない。一般の女の子は髪だけ出てくるInstagramなんて、流して見て終わり。もっと興味を惹くような内容にしないと”と言われ、バックショットも載せつつHow to動画や役に立つ情報を入れたり、セミナーに参加した時の感想などを書いたりして投稿し、自分の“ファン”を作る工夫をし始めたんです。」