ARTICLE テーマ:ブランディング (男性スタイリスト編)
『release』スタイリスト 浦松 俊宣
/Vol.6
なにより大切にし、
お客様と一緒に成長することが大事
浦松 俊宣 Uramatsu Toshinobu
Uramatsu Toshinobu
『release』スタイリスト。
1987年12月8日生まれ。大阪府出身。
サロンワークを中心に雑誌の撮影や商品開発、
セミナー講師など外部活動でも活躍中。
ブリーチ無しでの透明感のあるヘアカラーに定評があり、 さりげないおしゃれやナチュラルな美しさを提案。
20~30代はもちろん、50~60代のお客様からも支持を集めている。
ブリーチ無しの透明感カラーやレイヤーヴェールカットを武器に
どう集客し、リピートを増やしているのか、詳しくお聞きしました。
目次
- Topic1.
ブリーチについて猛勉強した上でブリーチ無しも、ブリーチも提案できるように - Topic2.
カラー×カットの掛け算でSNSの効果を上げる - Topic3.
お客様の心を掴むカウンセリングで悩みを引き出し、長期提案を - Pick up.
私の美容師ライフの7ルール
1
ブリーチ無しも、
ブリーチも提案できるように
それもありますが、どちらかというと美容師側がブリーチに抵抗感を持っているのではないでしょうか。「ブリーチ無し」というキーワードは確かにパワーがありますが、ブリーチが流行っている側面もあります。そこで改めてブリーチに対する理解を深めるため、昨年オンラインサロンに3つ入って、ブリーチについて猛勉強をしました。その結果、ブリーチという選択肢は美容師側が拒否しているのではないかと気づいたんです。勉強を重ねたことでブリーチという選択肢も入れられる自信がつき、提案のバリエーションが広がりました。色々な知識を身に着けた上で「ブリーチ無し」を提案できるようになると、ブリーチをしなかった結果、自分の理想に近づけなかったと感じているお客様に対してブリーチをおすすめすることもできますから、その差は大きいと思っています。
僕は「期間」が重要なポイントだと考えています。たとえば暗髪の人に透明感を出すには、明るくした上で色みも入れなくてはならず、それは1度の施術ではなかなかできません。ワンカラーを2回行ったり、期間を置いて色をチェンジしていくことが必要です。半年かけて目的の色にしましょうというやり方なら、髪への負担を最小限に抑えつつ、ブリーチ無しで透明感を出すことができます。一気に暗髪から透明感のあるカラーにできると考えているお客様も多いので、それを理解していただくため、カウンセリングは大事にしています。こうすることで次への期待感も高まりますし、「今日はここまでだけど次に来たらこうなれる」と想像することもできます。お客様と一緒に髪色をつくっていく感覚です。僕は『THROW』の寒色系やピンクなどをよく使っているのですが、お客様からとても評判がいいです。
リモートが増え、あまり外出もできないので、髪くらいはおしゃれをしたいという理由で、大人世代のハイトーンが増えています。インナーカラーや、表面にはなじむくらいのハイライトを入れ、内側にはしっかりハイライトを入れるデザインが人気です。どちらもまとめておけばほぼ見えませんからね。楽しいことが減ってしまった世の中だからこそ、せめて髪くらいは自分のやりたいようにやろう、気分転換をしようという気運の現れなのだと思います。
2
SNSの効果を上げる
トップからごく薄くレイヤーを入れ、文字通り「ヴェール」を纏ったように表面に動く毛をつくり、下の厚みは残しておくという切り方です。重めに飽きているお客様が多く、レイヤーを入れたいけれど何か変化がほしいというニーズに応えるべく誕生した技法です。レイヤー=下がペラペラになるという認識のお客様が多いので、その概念を覆したいという気持ちもあります。今の時代、カラーだけではSNSで目立つことは難しくなっています。「ブリーチ無しでの透明感のあるカラー」もInstagramの人気投稿ですから、フォロワーの多い人でないとなかなか見てもらえません。そこで「レイヤーヴェールカット」を組み合わせた投稿にして、カラー×カットの掛け算効果で、見てもらいやすくしています。
5年間続けているのですが、b-exさんが運営してくださっているので見てくれる方も多く、b-ex journalの僕の記事を読んで来てくれるお客様がたくさんいます。これまでハイライトの修正やハイライトの失敗について記事をいくつか書いているのですが、それですごくお客様が来てくれます。「ハイライト 失敗」で検索すると僕のb-ex journalの記事が上がってくるようで、とてもありがたいです。とにかく続けることが大事で、いちばん難しいこと。たとえ同じような内容であっても、毎回、鮮度が変わっていますから、これからもがんばって書き続けていきたいです。
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悩みを引き出し、長期提案を
口コミで書いてもらえるくらいのレベルでお客様の心に響くカウンセリングをしようと心がけています。特に新規の方は髪の悩みをしっかり言えないケースが多い印象なので、お客様の言葉にかぶせることはせず、お客様の話に傾聴し、最後まで話してもらうことを大事にしています。今の悩みを全部引き出し、それに対する解決策として具体的な施術内容や金額まで提示します。するとお客様の認識が変わるんです。時には30分くらいかけることもあります。これくらいしっかり時間をかけることで長期的な提案もでき、リピートにもつながります。
お客様と関わることが好きなので、外部の仕事もありますが、サロンワークのボリュームを増やしていきたいです。お客様に喜んでもらうために時間をかけて勉強するのは嫌いではありませんから、お客様のことを第一に考えて行動したいです。サロンワークは僕の美容師としての原点。これからもお客様の笑顔のために努力し続けたいです。
7ルール
朝以外もそうなのですが、同じものを永遠に食べ続けています(笑)。b-ex journal同様、飽きずにずっと続けられるんです。今日は何にしようかと考えることが面倒ですし、それを考える時間がもったいない、もっと違うことに頭を使いたいなと。ちなみに洋服も同じものを6枚持っていたりします。
朝食と同じで、これも日々のルーティンワーク。休みの日もいつもと同じ時間に起きます。たとえ夜遅く帰宅しても、翌朝起きる時間は一緒なんです。同じ時間に起きて同じ時間に出社して、いつもと同じように予約の確認や準備をするというリズムは、崩れることはありません。
できるかできないかではなく、やりたいかやりたくないかの問題なので、やりたいのなら責任を持って難しいほうを選ぶようにしています。たとえばブリーチを希望された時に拒否しようと思えばできますが、自ら学ぶことで最終的に自分の成長につながる――。常にそういう選択をしています。
ルーティン化
今は朝8時に投稿してストーリーズにも上げ、夜8時はストーリーズをメインに毎日投稿しています。もっと頻繁に投稿している時もありましたが、続けることが重要なので、続かなくなるくらいなら続けられるレベルで続けるほうがいいと思っています。投稿の量より常に情報が更新されていることが大事なんです。
スタイリングアドバイスを
する
スタイリングを一般の方に教えるのは難しいもの。なので、僕は3カ所巻けばOKというスタイリングを教えています。逆に3カ所しか巻かないことを前提した髪型をつくるんです。難しいスタイリングはできないけれど、これくらいならできると思っていただくことが大事だと思っています。
僕はカラーのほとんどの失敗はカウンセリングにあると思っています。今日全部やりたいならこれ、長期的に目指すなら今日はここまで、というように問題をつきつめて施術内容を整理することが大切です。カット&カラーで来店した方が、カウンセリングを経て違う施術をされることもよくあります。
新しい情報を収集
年齢を重ねると与えられることより与えることのほうが多くなっていきます。色々なことを学ばないと成長が止まり、新しいものが入って来ず、古いものを伝えてしまうことに。新しいことや流行っていることは極力頭に入れないと、僕のところに来るメリットもなくなってしまうので、情報収集は必須です。
20~30代はデザイン性を重視する場合もありますが、特に50~60代は髪がキレイになることを前提としている施術がほとんどです。デザインも大事ですし、今までと違う自分も見てみたいけれど、素材をキレイにしていたいというのがベースにあるので、ブリーチ無しで透明感が出るカラーや、髪質改善のメニュー、髪に負担の少ないカットなどが人気です。