ARTICLE テーマ:ブランディング (男性スタイリスト編) Vol.2
『sand S Ginza』トップスタイリスト 中 至紋
/Vol.2
お客様を呼び寄せる
中 至紋 Naka Shimon
Naka Shimon
『sand S Ginza』トップスタイリスト。
1995年2月6日生まれ。香川県出身。
ヴェールルージュ美容専門学校卒業後、
神戸のサロンで4年間勤め、
2019年9月に上京し、『sand』に入社。
2020年8月にスタイリストデビューし、
歴代最高となる初月売上280万円を記録。
集めるという中さん。
Instagram集客や
客単価アップのコツなど、
セルフブランディングの成功体験を
語っていただきました。
目次
- Topic1.
“絶対成功する”というプライドを持ちシャンプーからの再スタート - Topic2.
Instagramは、目標を明確にして投稿をコントロール - Topic3.
その時々の変化に対応しタイトルにもこだわることが大事 - Topic3.
リピートを増やすことを重点にお店全体の指名を増やしたい - Pick up.
私の美容師ライフの7ルール
1
というプライドを持ち
シャンプーからの再スタート
顧客はもちろん「ゼロ」。
「入社から1年でデビューすると決め、その1年間でInstagramを本気で作り上げて集客力をつけながら、技術を磨くことに全力で向き合いました。シャンプーからもう一度勉強し直すことに抵抗感を感じつつも、集客のために日々、撮影やInstagramを活用している先輩ばかりという環境で、多くのことを学びました。撮影に対するプライドやこだわりは一旦捨てて、先輩が成果を上げているスタイル投稿を完コピすることから始めました。あえて言うなら“絶対成功する”というプライドを持ってやっていましたね。また、営業前後か休日を使ってモデルさんを月45人くらい担当させていただき、客単価約11,000円、月に約46万円を売上げていました。写真を撮らせていただいてInstagramに投稿したり、スタイリストになった自分をイメージしたりしながら日々過ごしていました。」
2
投稿をコントロール
SNSを駆使した高い集客力。
「Instagramのフォロワー数は1年間で1,000人から17,000人を超えるまでに成長しました。僕のお客様層は幅広くて、10~30代だけでなく40~50代の方も来ます。Instagramでは自分の目標を明確にして投稿をコントロールしていて、たとえば女子高生のボブを狙うなら“JKボブ”とタイトルをつけて投稿すると、本当に女子高生がたくさん来ます。ショートの襟足デザインにこだわったスタイルや、“ショートでこういう悩みはありませんか?”という髪の悩みに対しての投稿をすると、長年ショートに対して悩みを持っていた方や、理想と違うと感じていた方が必ずいるので、そういう方にヒットします。僕は同時に抱えられるお客様の人数がまだ少ないので、売上を上げるには単価を上げることが重要です。そうなるとカットで予約を取るのではなく、カット+カラー+トリートメントなどの複合メニュー提案が大事になってきます。目標とする売上を達成するための時間単価を計算し、それに必要な複合メニューの投稿をする、というように、ゴールを決めてそこから逆算してInstagramに投稿しています。」
「人数を増やすのではなく、お客様1人ひとりに本気で向き合い、質の高い仕事をしてきた結果、単価もリピート率も上がってきました。予約が全部埋まってないと“やばい”と感じてしまいます。後輩にがんばっている姿を見せることもスタイリストの仕事。後輩にがんばっている姿を見せられない時間が少しでもあるのが悔しいんです。後輩のために命がけで予約を取りにいきたいです。」
3
タイトルにもこだわることが大事
集客力を上げるコツやフォロワー数を増やすコツ。
「可愛くて素敵なスタイルや、お悩みに応える投稿をすればいいというだけではありません。Instagram自体がその時々で変化しているので、それに対応することが大事なんです。たとえばハッシュタグ検索で“ショート”と入れると、ほとんどの確率で1枚投稿のものがヒットするようになった時期がありました。複数枚を投稿しても全然ヒットしなくなった、という“変化”が起きたのです。そういうアルゴリズムの変化にいち早く気付き、対応することが大切です。『sand』の場合、最初に気づいた人が声を上げて全員に共有し、その法則をみんなで見つけています。それを受けて1枚投稿を増やしたら、DMからの予約が増えたんです。僕個人のことで言うと、ハッシュタグ検索で僕のInstagramを見つけて来てくれるのを最初の入口とすると、そこに質の高い投稿があり、保存してもらってゆくゆくフォローにつながる、その一連の流れを生み出すために、その時々でヒットしているものをすばやく分析し、変化に対応した投稿をしています。1週間を通して何曜日に何の投稿が必要かを考えたり、土曜日の夜9時頃はInstagramを見る人がグッと増えるので、そこでどんな投稿をするか考えたり。ストレートパーマや髪質改善などの技術に関するものは反応がよく、Instagramをきっかけに予約が入ることが多いので、そういう投稿を1日に1個は入れておくなどの工夫もしています。また、僕はタイトルにもこだわっています。“そうそう、私もそうなのよ”と思ってもらえるようなタイトルをつけると、見てもらいやすくなります。普段のサロンワークからヒントを得て今のニーズを探っているのですが、“襟足がいつも浮くんです”というお悩みを持つ、目の前のお客様のためだけに作った投稿が、結果として他の人も気になっていたことだった、ということも結構あります。髪に関して迷っている人への言葉が響くのかもしれませんね。」
4
お店全体の指名を増やしたい
「“絶対に可愛くするので後で楽しみにしてください”と言ってbeforeを撮り、施術後にafterを撮って画像をプレゼントしています。自宅で自分で撮ろうとしてもなかなかうまく撮れないので、撮ってプレゼントするととても喜ばれます。しかも、だいたいの方がその写真を自分のInstagramに載せてくれるので、僕のことがストーリーズを通してタグ付けされ、お客様から勝手に紹介が広がっていくんです。これだけでも十分、つながりが生まれるのですが、ばっさりショートにして可愛くなれば周りから必ず褒められるので、また『sand』に行こうと思ってもらえます。」
「新規客を増やすことはもちろん大事ですが、今はリピートしてもらうことをいちばんに考えています。ファーストコンタクトが大事なので、カウンセリングに時間をかけています。その時点でまた来ますと言う方もいて、まだ切ってませんよと(笑)。僕は見た目は今どきな雰囲気ですが、親身になって話を聞くことを心がけています。また、専属アシスタントがいるのでカウンセリング時に“専属の○○君です”と紹介し、名刺も渡してもらい、2人で担当します、という形にしています。シャンプーやトリートメントを任せていますが、トリートメントは僕のカット料金よりも高いし時間もかかる、それを任せることで責任を持って担当してもらうようにしています。僕の指名も大切ですが、アシスタントに指名が来る=お店全体に指名が来るようにしていきたいです。」
7ルール
肯定する
アシスタントからは「至紋さんは、すぐ、“ええやん”って言いますよね」と言われています(笑)。何ごとも否定せず、「それ、いいね」と言うことで、「至紋さんに何か提案すれば話を聞いてもらえる」と感じてもらえるので信頼関係を築くことができ、次も僕にアイディアを持ってきてくれます。
インプットしたら翌日には
誰かにアウトプットする
自己啓発やマインド系の本を読むことが多いです。毎朝『sand』では「Good & New」という朝礼があり、いいことや新しく得たことを発表する場があるのですが、そこで発表したり、身近な友人や後輩にLINEや電話で話すこともあります。
実家の祖母に電話をする
僕は香川から大阪を経て東京に来たので、実家にいる祖母が寂しい気持ちになっていると思い、週に1回は電話しています。最近は「コロナは大丈夫か」と毎回聞かれますが、初心を忘れないという思いと、母や祖母に恩返しをしたい気持ちもあり、ずっと続けていきたいです。メールも頻繁にしています。
疲れない体づくりをする
週1回くらいパーソナルトレーナーの所に通い、筋肉のバランスを整えたり、食事の指導をしてもらっています。毎日、納豆、魚(サバの塩焼き)、ゆで卵、野菜、などを中心に食べることによって、だいぶ調子が良くなりました。元々魚好きなのは、祖母の影響が大きいのかもしれません。
毎日5時間以上寝ることを心がけているのですが、休みの日も仕事の日と同じ時間に目が覚めます。ジムに行ったり、散歩やショッピングなど、色々見ながら歩くだけでもいいかなと。外に行かないと何のインスピレーションも湧かないですし、何の情報も入ってこないので、必ず外出します。
仕事を任せられる関係を築く
朝礼・終礼の時や、サロンワーク中もできるだけ会話をし、休みの日に一緒に食事に行ったりして頻繁にコミュニケーションを取って、どんな美容師になりたいのかも聞きます。僕のカウンセリングを見てもらい、練習して、僕のアシスタントになったからにはいちばん成長してほしいと思っています。
前回に話した内容などを書き、先に席に置いておいて、僕がご挨拶をする前に席に座って読んでもらうよう、アシスタントと連携しています。
シンプルに手紙をもらうとうれしいですよね。喜んで持って帰ってくれる方が多いんです。お客様との良い関係を構築するための大切なおもてなしです。
「どこに行ってもお客様が自分を目指して来てくれて、100%リピートしてくれる美容師になりたいと思っていたのですが、前のサロンは地域密着型サロンだったので、撮影をしたりSNSで集客したりすることはあまりありませんでした。自力でやろうともしたのですがうまくいかず、まずは自分自身がもっと勉強しなければという気持ちが強くなり、東京に行こうと思ったんです。」